ネイチャー・コミュニケーションズ誌に、ビットコイン(BTC)のマイニングによる消費量が中国の実施する気候変動対策を阻害する可能性があるとの研究結果が掲載され、波紋を呼んでいます。
マイニングは中国の環境を破壊するとの調査結果
昨今、世界的に大きな話題となっているのが気候変動と持続可能性です。研究者たちは今後10年以内に行動を起こさなければ、地球に取り返しのつかないダメージを与えることになると警告しています。
これを受け世界各国では、二酸化炭素の排出量をプラスマイナスゼロの状態にするカーボンニュートラルといった気候変動に関する目標を設定しています。
しかしネイチャー・コミュニケーションズ誌に掲載された中国科学院大学・清華大学・米コーネル大学・英サリー大学の研究調査によれば、中国においてビットコイン(BTC)のマイニングが盛んなため、同国の気候変動対策が損なわれる可能性があると指摘しています。
論文ではビットコインの採掘率は非常に炭素集約が高く、規制を強化しなければマイニングによるエネルギー消費量と炭素排出により、持続可能性の目標に逆行する可能性があると警鐘を鳴らしています。
2060年までにカーボンニュートラルを目指す中国
中国の目標は2030年に二酸化炭素の排出量をピークとし、2060年までにカーボンニュートラルを達成することを掲げています。一方ビットコインのマイニングに関してもトップレベルで、75%が暗号資産(仮想通貨)取引が違法な中国で行われています。
マイニングによる二酸化炭素排出量は、中国の10大都市の1つに匹敵するとも言われており、現在の仮想通貨市場の盛り上がりとブームにより、今後もマイニングが増えることが予想されます。
そのため2060年までにカーボンニュートラルを達成することが危ぶまれる可能性が高く、今回の論文では次のように強調しています。
「適切な介入と実現可能な政策がなければ、中国で集中的に行われているビットコイン・ブロックチェーンの運用は、中国で行われている排出削減の努力を損なう脅威として急速に成長する可能性がある」
マイニングは、農村部など電気代が安い場所で特に人気があり、2016年には中国におけるビットコイン関連の排出量が、チェコ共和国やカタールなどの国の総排出量をすでに上回っていました。
このまま何の対策も講じなければ2024年には、イタリアやサウジアラビア全体の排出量を上回る可能性があると推測しており、仮想通貨の発展が地球の未来にどのような影響を及ぼすのか今後も論争に発展することは間違いありません。
しかしマイニング企業も再生エネルギーを利用するなど、何も対策を講じていないわけではありません。また省エネなマイニング機器も今後開発される可能性も十分にあり、いずれ終止符が打たれることが期待されます。