12月に入り、一部取引所などで過去最高値を更新するなど強気のビットコイン(BTC)ですが、これまでと違いアジアではなく北米の投資家からの資金流入が顕著に増加していることが分かっています。
北米がトップに
ロイターの指摘によれば、現在北米が仮想通貨取引のための主要ハブになっていると指摘しています。実際、北米を拠点にする仮想通貨取引所への週間の資金流入額は年初から7000倍に急増し、11月中旬までに216,000BTC相当となる約34億ドル(約3536億円)が流れ込んでいることが分かっています。
2017年の仮想通貨バブル時などでは、韓国が世界の仮想通貨取引の4分の1以上を占めていた時期があったほか、多くのマイニング工場が存在する中国がこの業界で最大の影響力を持っているなど、日本を含むアジアが市場をけん引していました。
しかしブロックチェーン調査会社Chain Analysisが公開したデータによれば、今年1月にはすでに約38億ドル(約3953億円)もの資金が東アジアを拠点とする仮想通貨取引所から引き上げられており、これまでのトレンドに変化が見られることが分かりました。
北米主導と断定はまだ早い?
セーシェルにあるHuobi Global Marketsの代表であるCiara Sun氏も最近の声明で「北米地域からの機関投資家の突然の需要がビットコイン取引に変化をもたらしており、異なる取引所やプラットフォーム間で資産配分をリバランスしています。」とコメントしています。
一方で北米の投資家が仮想通貨市場のリーダーとの呼び声は、時期尚早であるとの指摘も出てきています。例えばChainalysisの数字によると、東アジアと北米で仮想通貨取引全体の半分を占めていました。
しかし東アジアの規制は北米の規制とは全く異なることからデータの透明性に乏しく、どちらが優勢なのかはまだ判別できないとの指摘も出てきています。サンフランシスコの仮想通貨取引所クラーケンのCurtis Ting氏は、次のように述べています。
「市場では規制のない、または規制の明確性がほとんどない取引所と規制のある取引所間の区別が、ますます見られるようになってきています。大規模な金融機関は、規制された取引所が提供する予測可能性を求めています」
とは言え、北米の取引所の出来高がアジアと差をつけたことはこれまであったものの、今回のように差を大きく引き離したことは初めての出来事となっています。アジアの取引所では毎週140万BTC、北米の取引所では毎週約160万BTCが流入していると推定されています。
この背景にはアメリカの規制はアジアよりもはるかに厳しく、そのことが大口の投資家にとって安全かつ魅力的に見えることも要因だと言えるでしょう。