カナダの南アルバータ工科大学(SAIT)はブロックチェーンベースとなるデジタル卒業証書を4,800人以上の学生に発行する事を発表しました。これはオンデマンド教育市場に特化したブロックチェーン企業ODEMとの提携で可能になったもので、採用担当者と卒業証書を共有する事ができるため雇用プロセスの効率化に繋がるとしています。
ブロックチェーン上に卒業証書を発行へ
スイスで世界初となるオンデマンド教育マーケットプレイスのODEMは、イーサリアム(ETH)のブロックチェーン上で質の高い教育の場の提供を目指すスタートアップ企業です。
6月13日カナダの南アルバータ工科大学(SAIT)はODEMと提携し今年度卒業予定の4,800人以上の学生にブロックチェーンベースとなる卒業証書を発行する事を発表しました。なお、この大規模な取り組みはカナダの大学では初となります。
SAITは昨年12月にもODEMと提携しイーサリアムのブロックチェーン上でテストパイロットを実施しています。その際は25人の参加者にブロックチェーンベースの卒業証書を発行しており、今回はそれをさらに拡大させた形となります。
この取り組みにより卒業生だけでなく企業の採用担当者とも証明書を共有できるため、記載された情報の有効性を追跡する事が可能になり学歴詐称の防止に繋がります。
また、卒業生はSAITへ卒業証明書発行の申請を依頼し採用担当者や企業に送る手間がはぶけるため、雇用プロセスの効率化も実現する事になります。
教育履歴を自分で管理
SAITの学長であるDavid Ross氏は今回の取組みに対し次の様に述べています。
「貴重なSAIT認証情報をブロックチェーンを通じてアクセス可能にすることで、私たちの卒業生と雇用主はこの革新的な技術の恩恵を受け続けることになるでしょう」
またODEMのCEOであるRichard Maaghul氏は、ブロックチェーン技術によって学生は自分の教育履歴を完全にコントロールするべきであると主張し、教育をよりアクセスしやすく移転・検証が可能なものへするために学習機関と協力し続けると今後の展望を語っています。
このように大学のブロックチェーン技術の活用は世界的に見ても増加傾向にあります。スイスのバーゼル大学はスタートアップ企業のProxeusと提携し、ブロックチェーンで卒業証書を発行するスイスで初の大学となっています。バーゼル大学は、デジタル文書の偽造が容易となった現代において、ブロックチェーンは真正性の問題解決に役立つと述べています。
一方、マルタでは国全体で全ての教育証明書をブロックチェーン上で発行すると発表しており、この改ざんできない技術は教育機関でも徐々に採用の広がりを見せつつあると言えます。
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