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日銀がCBDC(中央銀行デジタル通貨)実証実験を遂にスタート。基本機能の検証へ。

日本銀行は4月5日、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)の実証実験フェーズ1を開始したことを発表しました。1年をかけ実験を行いフェーズ2に移行した後、必要とあればパイロット実験も検討するとしています。

日銀、実証実験フェーズ1実施へ

日本銀行のプレスリリースによれば、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)の発行・流通・還収などの基本機能を検証することを目的とした、実証実験のフェーズ1を開始したことが明らかとなりました。

現時点ではデジタル円発行の予定はないものの、実現可能かどうかを探る「概念実証フェーズ1」を2022年3月までの1年間、実施していくものとなっています。

日銀がCBDCの実験を行うことを最初に発表したのは12月のことでした。その際も黒田東彦総裁は「デジタル円の発行は考えていない」と明言していましたが、CBDCの開発を進めている同業他社に遅れを取らないように準備を整えることは重要だと述べていました。

今回の声明のなかでも日銀は、デジタル円の技術的な実現可能性の検証を開始するための準備を年初から行ってきたことを明かし「必要な準備が完了したため本日より概念実証(PoC)フェーズ1を開始します」と述べています。

環境構築に日立製作所選定

またプレスリリースでは概念実証フェーズ1の目的が達成され次第、フェーズ2に移行すると述べており、ここではフェーズ1で構築した実験環境をとCBDCの周辺機能を付加して、実現可能性を検証するものとしています。

2段階の概念実証を経て、さらに必要と判断されれば民間事業者や消費者を参加させるパイロット実験を検討する流れとなっています。

なお概念実証フェーズ1では実験環境を構築するための業務委託先として入札の結果、ブロックチェーン技術を検証している日立製作所を選定したことも明らかとなっています。

一方で黒田東彦総裁は最近の記者会見で「決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、状況の変化に適切に対応できるよう、十分な準備をしておくことが重要だ」と述べるに留まっており、デジタル円導入には腰が重いことは変わらずの状況と言えます。

いち早くデジタル人民元の開発を進めている隣国、中国では過去10年間でオンラインおよびモバイル決済が普及しており、主要都市で人口の90%以上がWeChat PayやAlipayを利用するなど既に土台が整っていました。

モバイル決済の普及率も中国では80%を超えているものの、日本ではわずか23.2%と現金決済への依存度が高いことも日銀がデジタル円の開発にそれほど熱心ではない理由の一つと言えるのかもしれません。

米国でもデジタルドル発行に慎重な姿勢を示していますが、今後数年のうちにグローバル取引において大きな役割を果たす可能性があることは認識していることは間違いなく、米の姿勢が軟化すれば日本も追随することと予想されます。