香港を拠点とする仮想通貨カストディ・サービスを展開しているFirst Digital Trust(FDT)が300万ドル(約3億1500万円)の資金調達を行いました。FDTは、アジア市場においてシームレスなデジタル決済ネットワークの開発を目指します。
FDT、300万ドル調達
FDTはアジア市場向け金融サービスを提供しているLegacy Trust(レガシー・トラスト)の子会社として設立され、仮想通貨のカストディ・サービス事業を展開しています。
2019年9月にはそれぞれが各事業に専念するためにスピンアウト企業として独立し、FDTは参入が増加する機関投資家に対して、世界標準となるカストディを提供することを目指していました。
今回、FDTに300万ドル(約3億1500万円)を投資したのは台湾を拠点とするベンチャーキャピタル企業Nogleで、FDTはこの資金で仮想通貨業界向けのカストディ・プラットフォームの開発を行います。
最高執行責任者Gunnar Jaev(グンナル・ジャエフ)氏は、今回調達した資金の多くは技術スタック構築に使われると述べています。また、グローバルな顧客ニーズに対応するだけでなく、世界的な基準を満たした金融サービスのコンプライアンスの構築にも投入されると説明されています。
仮想通貨のシームレス決済を実現
ジャエフ氏は、Nogleとの関係が単なる資金調達を超えたものであり、相乗効果によって人々が自由に資産をデジタル化させ、取引できる世界を作るというビジョンを加速させると主張しました。
Nogleはこれまでにも仮想通貨関連企業への投資を行っていましたが、FDTがデジタル通貨のカストディセクターを支配するだけでなく、重要な制度的決済レイヤーを提供すると見込んでいます。
FDTは2月、顧客がアジア地域でデジタル資産のシームレスな転送を可能にする迅速な高速決済ネットワーク「Rapid Settlement and Clearing Network(RSCN)」の構築に取り組むと発表していました。
5月にも公開予定とされていますが、RSCNが現在アジアのトレーダー向けに提供している決済ネットワーク「Silvergate Exchange Network」に代わるサービスになると予想しています。
米銀行Silvergateが提供していたものでアジアの顧客の取引のほとんどを処理していましたが、米市場の規制に従わなけれないけない欠点があり、RSCNを開発する事で解決する狙いがあります。
RSCNのプラットフォームは最初は法定通貨と仮想通貨のみ対応となっていますが、将来的に証券などのトークン化も目指すとしています。