先日、米議員によって景気刺激策の一環としてデジタルドルの導入が検討されていたことが分かりました。コロナウィルスの影響によって生活が困窮する国民の救済支援として役立つとされていますが、感染防止の面でも大いに活躍する可能性があります。
デジタルドル配布草案
トランプ米大統領による国民への現金給付計画が進む中で3月22日、民主党が作成したコロナウィルスによる景気刺激法案の中に「デジタルドル」の発行に関する2つの草案が含まれていることが分かりました。
米中央銀行に位置する連邦準備理事制度理事会(FRB)がデジタルドルとデジタルウォレットを導入し、未成年に1000ドル(約11万円)、成人に2000ドル(約22万円)をそれぞれ配布するとした内容になっています。
これにより企業の停止および失業してしまった国民の救済措置に充てる見込みとなっていますが、現時点では国会へ提出するのには至っていません。
そのためFRBがウォレット管理をし、国民がツールによってアクセスできデジタルドルを受け取れるものとなっていますが、ブロックチェーン・仮想通貨の採用も文書の中では言及していない状況となっています。
感染防止にも役立つ
新型コロナウィルスの死亡者数は26日の執筆時点で2万人を超えましたが、感染の一因として紙幣からの可能性も指摘されています。そのためドル紙幣での現金給付となった場合、さらなる不安が懸念されます。
通常、銀行振り込みも予想されますが小切手での郵送となった場合、郵便局を経由する際に複数の人の手によって処理されるため、小切手が汚染していると心配する国民も多いと考えられます。
これはコロナウィルスを蔓延させる可能性も高いため、規制当局などによりデジタル化して配布することは安心を与えるだけでなく感染拡大を抑制する効果も大いにあると言えます。
今回のデジタルドル発行計画は仮想通貨業界にとっても明るいニュースとなりましたが、冷静な意見を述べる業界関係者も少なくありません。
仮想通貨取引サービスを行うe-Toroの市場アナリストAdam Vettese氏はこのような状況において短期間での電子通貨発行は「現実的に非常に厳しいだろう」と述べています。
デジタル元の発行を計画している中国では民間企業と提携し、基本的な開発を完了したものの次段階となる法整備は時間を要すると推測されています。
とは言えデジタルドル発行計画は一過性のものではありません。FRBのジェローム・パウエル議長は以前、国家によるデジタル通貨の可能性を検討していると述べており、米商品先物取引委員会(CFTC)の前議長クリストファー・ジャンカーロ氏はフレームワークに取り組む「デジタルドル財団」を発足しています。