仮想通貨ビジネスは急成長を遂げています。価格も急上昇しており、2017年のバブルを経験した人たちは、当時の熱狂が再来したのかと自問している人もいます。そして2017年のバブルと同じように、この市場を作っているのは韓国勢が中心の東アジアです。
消えた「キムチプレミアム」
一方で、当時と違う点もあります。バブル期の韓国市場では、他国と比較して仮想通貨の価格が最大で50%以上も割高であった、「キムチプレミアム」と呼ばれる現象が起こっていました。韓国の仮想通貨トレーダーにとっては、キムチプレミアムはもっとも不公平な現象の1つです。
この現象は、韓国のトレーダーが自国の取引所で10%以上多くの支払いをしていた、2017年のはじめ頃に起こりました。そして、2017年の半ばにはこの数値がさらに倍になり、同年の12月には、なんと50%以上の割高な金額で取引が行われていたのです。
しかし、Money Todayが発表した最近のリサーチ結果では、仮想通貨の購入に韓国勢は割高な金額を支払っていないことが明らかになっています。仮想通貨市場は、トレンド転換を迎えつつありますが、キムチプレミアムは戻ってきていないのです。事実として、4月上旬のデータによると、韓国の「ビッグ4」とも呼べる取引所(Bithumb、Upbit、Korbit、Coinone)は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ライトコイン(LTC)、イオス(EOS)を全世界平均より約1%低い価格で販売しています。
釜山を拠点とする韓国人トレーダーであるNarstee氏は、Cryptonews.comのインタビューに対して、下記のように答えています。
「世界的なトレンドや動きを韓国の取引所を通して注意深く観察しているのであれば、あなたは仮想通貨の売買で利益をあげることができるでしょう。韓国の市場は競争が激しく、そして新しく誕生した取引所では大規模なエアドロップが行われています。あなたが目の肥えた買い手であれば、韓国では他国の取引所よりも安くトークンを購入できることが多々あることがわかるでしょう」
また、ブロックチェーンコンサルタントのMira Kim氏は、今後の韓国市場に関して下記のように述べています。
「私はキムチプレミアムをジンクスにしたくありませんが、市場に少しづつ信頼が戻ってきています。人々は貯蓄を銀行に預ける長い期間を経て、徐々に投資金額を増やしていくでしょう」
投資の選択肢
韓国は仮想通貨から離れる多くの理由を持っていました。「弱気相場、値下がりが続く市場」が国を直撃し、以前よりも厳しい状況へ追い込んだのです。
また、韓国政府の仮想通貨に対する規制も、一部のトレーダーにとっては阻害要因となっています。韓国の首都ソウルでは、ブロックチェーン技術の研究開発に多額の投資を望む一方で、ICOの禁止を行い、取引所をギャンブルやナイトライフ(夜の観光)と同じ扱いをしているのです。
韓国政府のこうした動きは、国内の関連事業者やイーサリアム開発者のヴィタリック・ブテリン氏のような、国外の仮想通貨支持者からも批判を集めました。
しかし多くの韓国人が、仮想通貨は魅力的な金融投資だと今もなお考えています。
韓国の不動産価格は、2桁成長を遂げた2019年のはじめから1%の下落となっており、専門家の見解では、住宅価格は一般の人にはまだ高すぎると考えています。
そして2008年以来の最低水準に達した株式市場は、依然として低迷しています。韓国でもっとも安定している対外輸出であるスマートフォンと半導体でさえ下落しているのです。事実として、サムスンの業績が市場予想を下回るという異例の警告を出しています。
Mira Kim氏はこのような状況に対しこう述べます。
「仮想通貨規制とロングベア市場(弱気市場)がすべて終わったと、韓国の投資家はただ休憩していただけだったと言うことができるでしょう。おそらくですが、キムチプレミアムの代わりに、私たちは今、コリアンボーナスを受け取っています。きっとこれは長く続くはずです!」
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