オーストラリア準備銀行(RBA)は厳格なガイドライン無しで、国内においてフェイスブックの仮想通貨Libra(リブラ)の利用を許可しないよう求めていたことが分かりました。商業銀行がすでに電子決済ソリューションを使用しており、ステーブルコインの需要はないと主張しています。
リブラに深刻な疑念を示すRBA
2019年12月末に開かれた金融技術および規制技術に関する特別委員会でオーストラリア準備銀行(RBA)は、リブラがオーストラリアの支払いに対する規制要件を満たしたとしても、ステーブルコインの需要があるかは懐疑的であるとの意見を表明しました。
またRBAは「G7は全てのリスクと規制要件に対処するまで、民間部門のグローバルなステーブルコイン構想の立ち上げを許可すべきではない」との警告を引用したうえで、厳格なガイドラインなしでリブラの使用を認めないよう政府に要望しています。
オーストラリアはこれまでも、仮想通貨に対して批判的な立場を取っており、フェイスブックがリブラのホワイトペーパーを発表して以来、ドイツ・フランス・中国と同様、国内での利用を認めないとする立場を表明していました。
その理由として、リブラが国内の金融政策の深刻なリスクをもたらすだけでなく、世界の為替レートに大きな変動を引き起こすと説明しています。
CBDCも不要、既存の仕組みで十分
RBAは頭ごなしに新技術を否定しているわけでなく、2018年に国内の決済システムの新技術を適切に評価するための社内調査チームを設置し、一部中央銀行からの支援を受け、実際にデジタルトークンのテストを行っていました。
その結果、デジタルオーストラリアドルがあったとしても既存の金融システムへの不必要な混乱、特に小売業界で混乱をもたらすとの考えに至り、仮想通貨のエコシステムに懐疑的な見方を取るようになりました。
また、慎重に監督された金融口座にある資金を利用するNPP(New Payments Platform)など、小売顧客が利用している既存のソリューションやデジタル決済方法だけで十分効率的かつ市場の需要を満たしていると説明しています。
そのため、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)すらも必要ないと主張しています。しかし、国際通貨基金(IMF)は潜在的なCBDCの役割を積極的に議論しており、中国などの各国でCBDC発行が計画されています。
この流れが主流となれば、オーストラリアはリブラなどステーブルコインの国内での使用を制限したとしても、CBDC発行などのデジタル化は免れないのかもしれません。