シンガポールの税務当局がデジタルトークンに関する新たなガイダンスを発表しました。ペイメントトークン・ユーティリティトークン・ICOに対する税処理格差に対処したものとなっており、個人でのマイニングは非課税であることも明らかになっています。
IRAS、電子税ガイドをリリース
4月17日、シンガポール内国歳入庁(IRAS)が発表したデジタルトークンの新たな税務ガイダンスは、ICO発行者・企業および消費者に向けたものとなっています。
なおデジタルトークンには以下の3つが該当します。
・商品やサービスの購入に使用されるペイメントトークン
・ユーティリティトークン
・セキュリティトークンまたはデジタル証券に関する権利
IRASの新たなガイダンスによれば、ビットコイン(BTC)などの決済機能を持つペイメントトークンは法定通貨ではなく「無形資産」であるとしています。
そのため消費者が商品やサービスをビットコインで支払った場合「物々交換取引」を行っていると見なすと決定しました。また受け取った企業は通常の税務控除が可能となります。
ユーティリティトークンは課税の必要も
一方、ユーティリティトークンに対しては課税対象となる所得を生み出す可能性は低いとしたものの、決済に使用された場合には通常の規則に従い控除対象の費用が発生すると述べています。
セキュリティトークンに関しては得られる収益の性質(利息または配当)に従って課税対象になります。
またICO実施により得られた報酬についての課税は、提供するサービスに対する見返りとしてトークンが発行されたかどうかだとしています。
そのためICO実施者の報酬は、サービスの見返りとして発行されない限りは資本資産に該当し、収益として扱われます。しかしペイメントトークンの性質を持ったICOに関しては、すぐに税金を納める必要があると注意を促しています。
マイニングは趣味なら非課税に
今回のガイドラインでは、マイナーへの課税は「利益目的でマイニング活動を行ったかどうか」だとし、趣味の範囲でのマイニングや採掘されたトークンを長期保有する場合は課税および控除対象外であると述べています。
しかし、シンガポールに拠点を置き継続的なマイニングを行っているマイナーは事業を行っていると見なされる可能性は高いと言えます。
そのため商業的なマイニングを行う企業や個人は、トークン処分時の利益に対しては課税対象となり、採掘されたトークンの売却による資本は対象外だとしています。
他にもエアドロップやハードフォークにより得られたトークンも課税対象外であると付け加えました。