米SEC(米国証券取引委員会)のコミッショナーで、暗号資産(仮想通貨)支持派として知られる通称クリプト・マムことHester Peirce(へスター・パース)氏は、NFTの発行について潜在的に証券とみなされる可能性もあると警告しました。
一部のNFTは証券に該当
NFT(ノンファンジブル・トークン)の熱狂は、SECの目にも届き注視しています。3月25日に開催された第3回Security Token Summitにて、SECコミッショナーのHester Peirce(へスター・パース)が登壇、特定の状況下でNFTは未登録の証券とみなされる可能性があると指摘しました。
パース氏は通常、NFTが有価証券とみなされる可能性は低いと踏まえたうえで、次のように警告しています。
「NFTの全体的なコンセプトは代替可能性がなく、他のものとは異なり一般的に証券の可能性は低いと思いますが、非常に独創的なタイプのNFTも世に送り出されています。何にお金を払う人がいるのか不思議なくらいですが、そのような創造性を考えると疑問を持つべきだと思います」
NFTは暗号で保護されたデジタル資産のことで、アートや仮想土地の区画、コレクターアイテムの所有権をブロックチェーンで証明できます。プロモーションにも利用されておりデジタルアーティストBeeple氏の作品が6,900万ドル(約75億円)で落札されるなど市場は活気に満ちています。
しかしNFTアートは著作権の問題や、マネーロンダリングの手段として適しているのではないかという意見も取りざたされていました。
ICOと同様の道を辿る?
またパース氏はNFTに関連したある種の資金調達活動が、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)で提起されたのと同様の問題を引き起こす可能性があると指摘しました。
ICOは仮想通貨新興企業が、投資家に独自トークンを購入する機会を与え、将来的なリターンを約束する資金調達手段として2017年に流行しました。その後SECは、ICOで販売されたほぼすべてのトークンは未登録の証券であるという立場をとっており、発行者に対し次々と訴訟を起こしています。
「もしあなたが『私はあなたにこの作品を売ることが前提で、購入すれば大きな価値があるように多くの努力を払って制作します』と言ったならば、多くの規制上の監視を受けることになるため、十分に注意しなければなりません」
また作品をたくさん集めてバスケットにしたフラクショナル(細分化)NFTについても、分割販売した場合、未登録証券となるリスクがあることを示唆しました。パース氏は証券の定義は非常に幅広く「常に疑問を持たなければならない」と最後にコメントしています。