Merokoではこれまで仮想通貨に関するプロジェクトのCEOの「人となり」にフォーカスしたCEOインタビューや、読者の皆さんが未だ不明瞭なことも多い仮想通貨の税金に関する理解を深めることを目的に税理士さんへのインタビューを行ってきましたが、新たにブロックチェーンを使った魅力的なプロジェクトを紹介する「プロジェクトインタビュー」をスタートします。
プロジェクトインタビューでは、プロジェクトについて深く知っていただくと共に、ブロックチェーンを使ったビジネスにはどういったものがあるのか、業界ではどのようなことが起こっているのかなど、ブロックチェーンに関する「リアルな知識」をお届けできればと思います。
この度インタビューをお受けいただいたのは、株式会社GINKANの代表取締役である神谷知愛さん。
前編では、今までのご経歴や自社のプロダクトである「SynchroLife」が生まれた背景、プロジェクトについて語っていただきました。
後編では、「SynchroLife」のコア技術や掲げているミッション、ブロックチェーンへの思いなどをお聞きしています。
>>前編の「SynchroLife」が目指す新しいグルメSNSとは【前編】はこちら
「SynchroLife(シンクロライフ)」は、ブロックチェーンベースのトークン SYC(シンクロコイン)を報酬とすることでレビュアー達がインセンティブを得ることを可能とし、プラットフォームを自律的に成長させていく世界初のグルメSNSです。
ユーザーは口コミからインセンティブを得るだけでなく、AIによる自身の好みに適した飲食店のレコメンド機能を利用することも可能です。
加盟店は、SynchroLifeを経由し飲食代金の5%を支払うのみで広告を掲載することが可能。加盟店になる際に費用はかからず、飲食業界には珍しい完全成功報酬モデルの集客手段が利用できます。
現在は155カ国と4言語(日本語、英語、韓国語、中国語)でサービスを展開しており、iOS版とAndroid版が公開中。
誰しもにとって身近な「食」を通して「レビュアーへの暗号通貨報酬」や「飲食代金の暗号通貨による還元」を行い、飲食業界の課題解決に取り組むプロジェクトです。
SynchroLifeについてさらに知りたい方は、こちらの記事をチェック!

株式会社GINKAN CEO神谷氏に聞く
「SynchroLife」が目指す新しいグルメSNSとは【後編】
ブロックチェーンを利用するサービス、その開発の比率は?<SynchroLifeの場合>
Meroko:ブロックチェーンを利用されているということで、バックエンドの開発においてブロックチェーンにより力を入れられているのかなと思っていたんですけれど、お話をお聞きしているとレコメンドやAIの部分により力をいれていらっしゃるんですね。
神谷知愛氏(以下、神谷氏):僕たちはブロックチェーンはイーサリアムを使い、ERC223としてシンクロコイン(SYC)を発行しています。なので、スマートコントラクトの開発はしているけれど、ブロックチェーンの開発はしていないんです。
Meroko:確かに、ERCとしてのトークン発行はさほど難しくないとお聞きします。
神谷氏:僕らの場合、ブロックチェーンの開発はスマートコントラクトオンリーで、子会社の香港法人で発行しているSYCを、どういった基準で、どういったプラットフォーム上で、どういったウォレットに配布するか、っていう部分が要になってきます。
ブロックチェーンを利用していると、注目されている技術ってこともあってそこの開発にお話のウェイトが多い傾向があるんですけど、最終的に僕らみたいなコンシューマーが使うサービスっていうのは、サービスの「要」の設計が全てです。もらっている人が納得感のある量をもらえているかとか、もらうための仕組みがスムーズに作動するかとか、貰った通貨を全然その仕組みが分からない消費者の方でもちゃんと保有できるのかとか。そういったところがキーになる。
僕らは開発でいうとUXの方にずっと力を入れています。レコメンドエンジンもそうですし、投稿された投稿自体がどれだけ信用があってどれだけスコアが高いかっていうのをSNSのデータを使ってスコア化するっていうのが僕らのコア技術ですね。
配布をする為のスコアリングのシステムってものがきちんと整っていれば、後は配布するだけなので、意外とそこの開発ってハードではなくて。だから僕らはブロックチェーン技術による進化によって恩恵を受けている企業って立ち位置かもしれません。
ブロックチェーンの速度とかトランザクション問題は、僕らスタートアップが取り組むところではないんです。また、その取り組むスピードが速くて、かつコミュニティが大きいっていう事で僕らはイーサリアムを選びました。
インターネットをイメージしてもらえると分かりやすいと思うんですけど、スタートアップではインターネット回線の速度を早くしようなんてことはやらないんですよ。早くなっていくだろうって考えて、早くなった前提でビジネスを設計していくんです。僕らはブロックチェーンを利用したサービスとして動いているから、必然的に開発の構成もサービスの部分が多くなります。
アプリ内で行われる様々な情報の「スコア化」
Meroko:力を入れている部分の一つにレコメンド機能がありますが、サービスを楽しむためには、ユーザー側はなにかしらのアクションをする必要がありますよね。やっぱり、沢山いいねをするとかお気に入りを追加したりとか、そういったことをした方が、より自分に合ったものをおすすめしてもらえるんですか?
神谷氏:いや、見てるだけで大丈夫です。
Meroko:そうなんですか?見てるだけ。。。なんだかそこにはきっとすごい技術があるんですね。。。
神谷氏:いや、別にすごくないんですよ。SNSって、みんな見てるだけでなにかしらのアクションをしているわけです。
Meroko:いいねですか?
神谷氏:いいねをしなくても、お店の情報を見たり、写真を見たりしますよね。趣味嗜好ってその人の行動で全部分かるんです。この人はこの辺を拠点にしてて、イタリアンはあんまり見ないからあんまり好きじゃないんだろうな、焼肉とかラーメン多いよね、とか。そうすると、その人の属性とか行ってる店とか、そこの客単価とかが分かってくるんです。見てるだけと言っても、結構な量の情報が取れるんですよ。
Meroko:見てるだけでですか。そういったデータって「いいね」などのデータを取っていくわけじゃないんですね。もっと些細なところから。
神谷氏:興味のあるアクションとないアクションって自然とわかるので。これは僕らだけでなくて、みなさんやっていることですよ。もちろんネットフリックスもそうですし、フェイスブックやインスタもそうです。それを僕らはレストランのコンテンツに持ち込んだ。
唯一違う点が、Webサービスでは利用できないところですね。例えばGoogle検索からグルメサイトを使ってお店に行かれても、ブラウザ情報しかないのでデータを取れないんですよ。僕らがアプリ一本でやっている理由は、そういった理由です。アプリの中はそのユーザー個々の趣味思考やデータ、生活圏データ、本人が気付いていないデータまで知る事ができるからです。それを使ってより良い情報をユーザーに提供していく。
Meroko:なるほど。じゃぁ、アプリを開くだけで、どんどんわたしの好みに近づいていってくれるてことですね。
神谷氏:みんないいねいいねって言っていますけど、結構適当に押しているんで、実は趣味思考にあまり関係ないんです。気分じゃないですか。僕らは、いいねを全く重視していません。
Meroko:えっ、でもいいいねの機能はあるじゃないですか。
神谷氏:SNSのアクションとしての効果はありますけど、そういったデータとして取ってないです。
Meroko:そうなんですね、すっかり一番のポイントかと思っていました!
神谷氏:自分のリストを汚したくないから、リストに入れるお店は選びますよ。フォローする相手にしてもそうです。
でも、いいねの場合は自分にいいねを押して欲しいから押す人もいる。別にいいねを押すことにデメリットってないんですよ。
たまに僕らの記事で「いいねが多いと」みたいにかかれてることもあるんですけど、本当に一切関係ないです。それはいいねがすごい注目されて、例えばいいねにインセンティブをつけるとか、そう言った話も他サービスで多いからだとは思うんですけど。
Meroko:多いですね、イメージがしやすいんだと思います。
神谷氏:そう。ただ、レストランレビューにいいねは関係ないです。
Meroko:う〜ん、面白いです。
神谷氏:なので、それだけは。笑
Meroko:はい、書かないようにしますね。笑
SynchroLifeのミッションと、世間への「見せ方」
Meroko:お話が意図しないところに膨らむことがあるのは、様々なジャンルのメディアで取り上げられていることも理由の1つかもしれませんね。
SynchroLifeの場合、本当に幅広いジャンルからお話が来ていると思います。それだけ沢山のところでお話しされると、依頼されるきっかけになる部分が、ブロックチェーンの場合もあればSNSの場合もある状況だと思います。
プロジェクトとしては今後自分たちをどう外に見せていきたいかなど、意識されている点はありますか?
神谷氏:僕らのミッションは飲食業界を健全化して、社会的価値を出すこと。そのミッションのために、現在それを解決するためのリワードの分散化に着手しています。
最終的には、僕らが決済などのフィンテック領域、いわゆる広告収入以外で稼げる仕組みを作ることで、飲食業界の広告宣伝費を最適化していきたいと思っています。
基本的に僕らはこれをスタートアップ企業としてやっています。なので、スタートアップ系のイベントとかメディアとか、そういったところに出ていくことが比較的多いですね。
Meroko:見せ方って本当に大事ですよね。どのプロジェクトもどう外にアピールしていくかってことをとても気にされていると感じます。
神谷氏:取材等を受ける前に他のインタビュー記事とかはもちろん見たりしますね。
Meroko:ブロックチェーンは素晴らしい技術ですが、理解されていない点もまだまだ多くあり、魅力的なプロジェクトがメディアやニュースに取り上げられることでこの状況が変わっていくと思っています。
改めまして、この度はインタビューをお受けいただきありがとうございます。
神谷氏:ありがとうございます。
神谷氏の考える、ブロックチェーンとは?
Meroko:開発でもサービス部分に力を入れていると仰っていましたし、ブロックチェーン企業としてよりもスタートアップ企業として取材を受ける場合が多いとのことなので、あんまりブロックチェーンに対する思い入れみたいは持たれていないってことですよね?
神谷氏:いや、思いはありますよ!これがなければ僕たちこのプロジェクトはできないので。
Meroko:そうですか、それはちょっと嬉しいです。笑
神谷氏:結局、ブロックチェーンって、金融とマーケティングの融合をする革命的なテクノロジーなんですよ。
例えば不動産とか株とかって、今までマーケティングに使えませんでした。でも、ブロックチェーンって金融のインフラを新しく作っちゃったみたいなテクノロジーで。
金融とマーケティングの要素ががかねそろっていること、僕はそこがブロックチェーンの1番のイノベーションだと思っています。
Meroko:「金融とマーケティング」ですね。もう少し詳しくお聞きしてもよろしいですか?
神谷氏:例えば僕らのサービスを例に出すと、「株をあげるからお店でご飯食べましょう」なんてキャンペーンは簡単にできないじゃないですか。
Meroko:なるほど。
神谷氏:株って資産価値があって、いわゆる世界的に流動することができる。でも、金融のサービスって金融のインフラの中にあるので、なかなかそういったマーケティングには使えない。だから、そういったことに使いたい場合、現状では自社発行型のポイントやクーポン、そういった資産価値のないものでやっています。でも、暗号通貨とかブロックチェーンってそこの真ん中なんです。
Meroko:そうですね。
神谷氏:いわゆる金融商品ではないんですけど、結局デジタルアセットって言われて、世界各国共通どこにいても同じ価値で交換できたり換金できたりする。
つまり、金融商品ではないけれど資産という点では似た性質を持っている。
しかも、実際にそれが支払い手段に使えるようなオプションがつけられたりするわけです。ギフト券が買えたりとか、デビッドカード立てで決済が出来たりとか。そんなことができる可能性がある、こんなことは今までなかったことです。
Meroko:理解できました、有難うございます。
神谷氏:ここの理解って意外と難しいですよね。金融とマーケティングの両方を知らないと、この発想は生まれづらいと思います。
トークンが証券かどうかって議論もありますが、証券という視点でいうと、ブロックチェーンはそもそも金融業界から出て来るべきイノベーショなんですよね。結局、ブロックチェーンのインセンティブである仮想通貨がマーケットで価値が出たこと自体が、本当にすごいの一言だと思います。
だって、誰かが作ったデジタルな記号と数字が市場で売買されて、法定通貨で10兆円以上がそこに流れ込んでいるという事実があるわけですから。
Meroko:そうですね。
神谷氏:これって、金融マーケットと同じなんですよ。しかも、それを使ったマーケティングとかインセンティブとかリワードとか、いろんなことができる。「暗号通貨ってすごい」っていうのは、本当はそういう話なんです。
投機的な対象になってしまったこと自体はネガティブに言われていますけど、投機的な対象になっていなければ、ブロックチェーンのここまでのイノベーションは起きていなかったでしょう。バブルが起き、弾けた。でも、あそこでマーケットが膨らんだのは事実です。投機的な対象者がお金を突っ込んだからこそマーケットができ、そのマーケットを使って仮想通貨を使ってなにかをするってことができるようになった。これは、すごく大きな話です。
僕らのサービスの場合、ある意味レビュー報酬の負担ってゼロなんですよ。何千億報酬を出そうが、僕らは一円もレビュー報酬の原資負担はしていない。
Meroko:ビジネスをする側の立場からすると、そこはすごく新しい部分ですよね。
神谷氏:そうです。株式市場で第3者割り当てで株を発行して資金調達するのも、原資負担がないじゃないですか。同じです。でも、ポイントの場合は原資負担があるんですよ。
Meroko:しなきゃいけない、ってことですよね。
神谷氏:もちろん。フィアット型なので、ポイントをばんばん付与していたら、付与した分は基本的に原資を負担しなくちゃいけない。だから、そんなことは多くの企業には出来ない。
Meroko:新しいビジネスを始めるにあたってのこの仕組みは、本当に画期的すぎて、まるで魔法のようですよね。
様々な要因によって、沢山の人が仮想通貨、それこそ数字と英語の羅列に価値を感じるようになったっていう現状はすごい面白いと思います。お金のあり方を変えたといいますか、新しい概念を作り出す感じというか。
神谷氏:その部分が金融なんです。会社も作るときには価値なんてほぼないわけです。でも数億、数十億っていう価値になったりする。投資家が投資をする会社に成長していって、最後に上場して、いわゆるマーケットで売買されるようになるわけです。でも、それも元々、ゼロなんです。
Meroko:そうですよね。それと一緒なんですよね。
神谷氏:その仕組みと全く一緒です。だから、僕らがやっている努力っていうのは、自分たちの事業を成長させること。事業が成長したら、SYCが買われる仕組みが裏側で回っているので、嫌でも買い需要を増やしていくことになる。
SynchroLifeのトークンエコノミーは上記の通り。
ユーザーは自身の口コミによってSYCを手に入れることができ、飲食店はSynchroLifeのユーザーが実際に来店した際に会計の5%を支払う(完全成功報酬型)
つまりが僕らの事業の成長から何千万、数億って買い需要を作っていくことが可能なんですよね。そうすると、僕たちのトークンってインフレしない設計になってるので、自然と1トークン当たりの価値っていうのは上がる。
そうやって参加者たちにリワードを還元し、最初にも申し上げたように、今までの飲食業界のマーケティングの構造自体を再定義して、飲食業界の広告宣伝費が最適化したい。
これを当面の目的として、これからも事業を成長させていきたいと思っています。
まとめ
プロジェクトインタビューでは、魅力的なプロジェクトを紹介すると共に、ブロックチェーンを使ったビジネスにはどういったものがあるのか、業界ではどのようなことが起こっているのかなど、ブロックチェーンに関する「リアルな知識」をお届けしていきます。
1回目のインタビューでは、ブロックチェーンを利用した新しいグルメSNS「SynchroLife」を運営する株式会社GINKANの代表取締役 神谷知愛さんにお話を伺いました。食は老若男女が興味を持っているトピックであり、誰でも一度はグルメレビューサイトを利用したことがあるのではないでしょうか。
実際にブロックチェーンに関する事業を起こしプロダクトの開発を進めている神谷さんのお話を伺うことで、ブロックチェーンを活用するメリットや上場を取り巻く現状などをよりリアルに感じることができたと思います。
今後も、実際にどのような方がどういった想いを持ってプロジェクトに関わっているかを学び、「ブロックチェーンの正しい知識」を多くの方にお伝えすることを目標に取材を続けたいと思います。
SynchroLifeについてさらに知りたい方は、こちらの記事をチェック!

メロスケ
一般投資家の中にはプロジェクトの実態を知らないで通貨のことばかり考えている人もいるけど、「その通貨を利用したプロジェクトが僕たちの世の中をどう変えていくのか」ってところまで考えられると、もっと面白くなるんじゃないかな。
シンクロコイン(SYC)の場合は、便利なサービスを利用してトークンがもらえるから、エアドロップよりもお得!
こういう形で、ブロックチェーンが僕らの暮らしをより良くしていくと嬉しいねっ!!
神谷さん、貴重なお話をお聞かせくださいまして本当に有難うございました!
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