ロシアのMikhail Mishustin(ミハイル・ミシュスティン)首相は、仮想通貨(暗号資産)の財産権を認めるべく、税法改正を提案していることが分かりました。国民の資産を詐欺などから保護する狙いがあります。
ロシアの姿勢が軟化?仮想通貨を財産へ
11月26日にオンラインで開催されたロシアの政府会議にて、同国のミハイル・ミシュスティン首相は利用者保護のため、仮想通貨市場の発展を「文明的な方向」に導く計画であることを明らかにしました。
ミシュスティン首相は「仮想通貨が比較的新しい金融商品であり、デジタル資産への関心が高まっている」と認識したうえで、保有者がより良い権利と利益を守ることができるよう新たな法的枠組みの導入を提案しました。
その一環として仮想通貨を財産として分類するため、税法を改正し違法行為から資産を保護できるよう提案しています。
「我々は税法に多くの変更を行います。デジタル金融資産は財産として認識され、その所有者は違法行為が行われた場合に法的保護に頼ることができるようになるだけでなく、法廷で財産権を守ることができるようになります」
今年1月に就任したミシュスティン首相ですが、以前はロシア連邦税務局長を10年間務めていました。首相就任後にはロシアは国家的なデジタル経済プログラムの発展を優先すべきだと主張していました。
過度な規制は変わらないとの指摘も
今回の声明は過度な規制を課そうとするも不透明さが続くロシアにおいてかなりの進展と言えます。一方で大きな変化は見られないとの指摘も出てきています。
7月には「デジタル金融資産に関する法(DFA法)」が可決、ウラジーミル・プーチン大統領がこの法案に署名していました。この法案はデジタル証券の発行を規制し、申告があった場合には仮想通貨を財産と認められることも含まれていました。
そのため今回のミシュスティン首相の発言と同じ内容であることから、専門家からは過度な期待は持つべきではないと警鐘を鳴らしています。
また9月にはロシアの財務省が、仮想通貨による収入があれば税務当局へ報告を義務化する法案を計画していたことが明らかになりました。これにより仮想通貨保有者が申告を怠った場合、多額の罰金・重労働あるいは3年の懲役刑が科せられることになります。
さらに2021年の始めには仮想通貨決済を禁止とする法案も噂として浮上してきており、依然として規制が明確でないことからロシアの投資家からはさらなる不安も生じています。
しかしロシア政府はCBDC(中央銀行デジタル通貨)であるデジタル・ルーブルの発行に向け、積極的に取り組んでいることも明らかとなっており、続報が気になるところと言えます。