米大手資産運用会社Fidelity Investments(フィデリティ・インベストメンツ)が、SEC(米国証券取引委員会)にビットコイン上場投資信託(ETF)の目論見書を提出したことが分かりました。
新たなビットコインETFが申請される
運用資産が4.9兆ドル(約535兆円)を超える金融大手Fidelity(フィデリティ)が3月24日、ビットコインETFの承認申請をSECに提出しました。米でのビットコインETFはこれまでVanEck・Valkyrie・NYDIGなどが申請しているものの、承認は厳しいものとなっています。
一方、伝統的金融企業大手の申請は初となっています。ロイター通信によるとフィデリティのビットコインETFは、子会社であるFDファンド・マネジメントが担当しており「Wise Origin Bitcoin Trust(ワイズ・オリジン・ビットコイン・トラスト)」という名称になっています。
価格指標はCoinbaseやBitstampなど大手仮想通貨取引所のビットコイン価格を追跡する「Fidelity Bitcoin Index PR(フィデリティ・ビットコイン・インデックスPR)」に基づくことになります。
フィデリティは今回の声明の中で、次のように理由を説明しています。
「近年デジタル資産のエコシステムは大きく成長し、投資家にとってはさらに強固な市場となり、機関投資家の需要も加速しています。ビットコインへのアクセスを求める投資家がますます増えたことで、デジタル資産へのエクスポージャーを提供する、より多様な商品群の必要性が強調されています」
止められないデジタル資産の需要
フィデリティのETFはビットコインを直接、販売することはないものの特定の費用を支払うために仮想通貨を使用すると発表しています。ガイダンスによれば、現時点で使用する仮想通貨はビットコインのみと記されています。
今回のフィデリティの申請は、カナダとブラジルでビットコインETFが上場された後に続くものとなっていますが、SECはこれまで全ての企業の申請を「市場がまだ成熟していない」との理由で却下してきました。
一方で、CNBCの先週の報道ではSECはVanEckからのビットコインETFの提案を認め、45日間の審査に入っています。そのためフィデリティは申請タイミングを見計らっていた可能性も示唆されています。
2018年には仮想通貨のカストディと取引執行サービスを提供する子会社「Fidelity Digital Assets」を設立、2020年末には同子会社がブロックチェーンスタートアップBlockFiと提携し、機関投資家が現金融資の際、ビットコインを担保にできるサービスを開始しました。
フィデリティの最高経営責任者アビー・ジョンソン氏は、同社のビットコインに関連するカストディ事業は信じられないほどの成功を収め、投資家のための「とてつもないパイプライン」を生み出したと語っており、今後も様々な関連サービスを開始することが予想されます。