日本経済新聞は、日米欧の銀行業界のトップが協力し、ブロックチェーン技術に基づいた電子通貨を発行する計画がある事を報じています。utility settlement coin(ユーティリティ決済コイン・USC)と呼ばれるこの電子通貨は、国際送金における手数料削減・即時決済を可能とするべく2020年までの発行を目指しています。
日米欧の主要銀行、ブロックチェーン技術に注目
世界各国の主要銀行が続々とブロックチェーン技術に注目しつつあります。日本経済新聞の報道によると日米欧の14の主要銀行が共同出資し今年5月に設立した新企業「Fnality International(エフナリティ・インターナショナル)」は、2020年までに独自の電子通貨「utility settlement coin(ユーティリティ決済コイン・USC)」の発行を目指しているようです。
このUSCを用いれば、銀行間における国際送金の手数料削減や即時決済が可能となります。
このプロジェクトに参加表明しているのはFnality Internationalの他、日本三菱UFJ、三井住友・クレディ・スイス・UBS、バークレイズなど日米欧の主要銀行が名を連ねています。
USCの詳細は?
Fnality Internationalが各国の中央銀行に銀行口座を開設し、国際送金の際にはUSCが用いられる形になるとの事です。また、対応可能な法定通貨は現時点で日本円、ドル、ユーロ、ポンド、カナダドルの5種類を予定しています。
なお、USCは顧客から預入された資産が裏付けとなっているため、為替レートの違いだけが反映される事になります。長らく仮想通貨の採用への懸念として急激な価格変動が挙げられていたものの、この方法を取る事によって従来の懸念点を避ける事が可能となります。
Fnality Internationalといえば共同出資の際に約68億円の資金調達に成功した企業で、今回USCに使用するブロックチェーンは「プルーフ・オブ・オーソリティー(Proof of Authority・POA)」を採用しています。
USBの投資戦略責任者であるHyder Jaffrey(ハイダー・ジャファリー)氏によれば、これまでの国際送金では「決済リスク・カウンターパーティーリスク・市場リスク」といった複数のリスクを抱えていました。これら全てのリスクは市場におけるコストと非効率性に繋がると指摘しています。
Fnality Internationalは独自のブロックチェーンシステムを構築する事でこれらの懸念を解消し、安全で低リスクな高速取引を可能にする事を目指しています。
一方、大手銀行が発行する電子通貨といえばJPモルガン・チェースが発行するJPMコインがあります。この様に今後、大手銀行による電子通貨の発行は徐々に増えてくるのかもしれません。
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