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STO(セキュリティー・トークン・オファリング)とは?ICOとの違いをわかりやすく解説!

仮想通貨を使い資金調達を行うことを、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)と呼びます。

2017年頃には世界中で数々のICOが行われたことで、ちょっとしたムーブメントとなりました。その一方で、誰でもかんたんに取り組むことができる手軽さから詐欺が多かったことでも知られています。一説によると、ICOの90%、もしくはそれ以上が詐欺だといわれています。こうした事態を踏まえ、世界各国では徐々にICOの規制が厳しくなってきています。

今更聞けない、仮想通貨のICOとは?ICOの特徴と魅力を分かりやすく解説します

この問題に対して登場したのが、STO(セキュリティ・トークン・オファリング)です。STOは法規制に準拠しており、ICOに代わる新たな資金調達方法として注目を集めています。

この記事では、STOが従来のICOとは具体的にどこが違うのか、日本でも行われているのかなど、気になる疑問点をまとめて解説していきたいと思います。

STO(セキュリティー・トークン・オファリング)とは?これまでのICOとの違い

ICOとSTOの違い(2019年5月作成) ICO(イニシャル・コイン・オファリング) STO(セキュリティー・トークン・オファリング)
概要 トークンを発行・販売して行う資金調達方法 トークンを証券として発行・販売して行う資金調達方法
特徴 法的な規制がない状態で発行・販売が行われる 証券に関連した法律に準拠して発行・販売が行われる
メリット 誰でも手軽でかんたんに実施することができる 法律に準拠しているため違法性がなく信頼性が高い
デメリット 規制がないため信頼性が低く詐欺が多い 実施者側のやるべきことが多いため負担が増える

STOは「Security Token Offering」の頭文字をとった略称で、Securityには証券という意味があります。また、Token(トークン)とはあるプラットフォームの中で流通する通貨のことを指します。

STOをひとことでいうと、証券としてトークンを発行・販売する資金調達方法のことです。広い意味では、ICOの一種ともいえます。

ICOの詐欺と規制


これまでのICOには、その手軽さから詐欺が多いという問題点がありました。そもそもの原因となっていたのは、法規制がしっかりと行われなかったことです。

これに対して、各国政府はICOを取り締まる規制を行っています。
たとえば、アメリカや中国ではICOの開催や参加が禁止されています。日本でもICOの禁止に関連した資金決済法の改正案が審議されている状態です。

具体的にどのような規制が行われているのか、下記で確認していきましょう。

ICO規制の中身と論点

ICOで行われる規制は、金融商品取引法に基づいたものです。具体的には「ICOで発行されるトークンは投資契約を結んだ証券に該当する」といった点が、規制の主な論点となっています。

この説明だけだと少しわかりづらいので、投資の中でも代表的な株の例で考えてみましょう。

たとえば、株は発行時にIPO(イニシャル・パブリック・オファリング)と呼ばれる、株券の前売りを行います。前売りで株を購入する人は、将来的なリターン(配当や株の売買益)を求めて購入します。こうした企業と投資家の間に投資とリターンが発生するものを、「投資契約」と呼びます。そして、「投資契約」が発生する場合、「証券」を発行するには法規制を準拠する必要があるのです。

ここで仮想通貨に視点を戻してみましょう。

仮想通貨で行われるICOにおいて、投資家は将来的な値上がりを見込んでトークンを購入する場合が多いといえます。つまり、これは投資契約に該当する可能性が高くなります。投資契約が発生する場合は、関連する法律に準拠する必要があるのです。

このような背景から、ICOに関する規制というのは「ICOで発行されるトークンは「投資契約」を結んでいます。それは「証券」に該当するからちゃんと法律を守ってくださいね!」ということを、はっきり法律で示したということだと言えるでしょう。

STOは信頼性の高さと詐欺の少なさがメリット

こうした法規制は、投資家が詐欺から身を守ることができるという点では良いことだといえますが、その一方で、ICOで従来のように資金を集められなくなった実施社側にとっては、こうした規制は大きなデメリットとなります。

ここで登場するのがSTOです。STOはトークン発行時に証券と同じように法律に準拠した手順を踏むため、ICOの規制に該当せず、資金調達を行うことができるのです。

法律的にダメなら、法律を守ってICOをしようというのが、STOの発想です。企業側も堂々と仮想通貨を使って資金調達ができますし、投資家も詐欺に遭遇するリスクが減るため、STOのメリットは非常に大きいといえるでしょう。

また、法律にしっかりと準拠しているため、仮想通貨の社会的な信頼性を向上することも期待できます。これによって、株などの従来の金融資産に投資を行っていた保守的な層にも、仮想通貨の投資に参加してもらえる可能性が出てきます。

STOを行うために重要なHowey Test(ハウェイテスト)

対象が証券かどうかを判断するためによく使われているのが、Howey Test(ハウェイテスト)です。もともとこのテストは、SEC(米国証券取引委員会)が、アメリカのHowey社による土地の販売を証券法の投資契約に該当するとして訴えた裁判が由来となっています。また、この裁判ではHowey社の行為が、投資契約に該当するという判決がでています。これによって、証券であるかどうかの基準が初めて提示されたことになり、それに基づいて制作されたのがHowey Testです。

Howey Testはいくつかの質問に答えることで、その回答内容をスコア化し、一定の数値を超えた場合には証券である可能性が高くなるというものです。
具体的に仮想通貨に置き換えると、トークンを発行して資金を集めたかどうかや、資金集めの時期はどのタイミングで行ったのかなどが主な質問内容になります。

Howey Testは必ずしもその結果を保証するものではありません。スコアが証券基準に該当しない数値でも、裁判では証券に該当するという判決が出る可能性もあります。

しかしその一方で、証券かどうかの判断基準としてとても重要視されていることも事実です。実際に、現在規制の主体となっているSECは、公式見解ではないもののHowey Testによる結果がトークンの証券性を判断する基準になることを、証券問題のフレームワーク発表によって明らかにしています。

デメリットはSTO実施者の負担が増えること

STOを行う場合には、各国の証券に関する法律に基づいて届け出や関連作業を行う必要があります。また、投資家のKYC(本人確認)や情報開示なども必要になるため、運営社側の負担は大きくなります。

手軽に行える点がICOのメリットでしたが、STOではこうした実施社側の負担が増えるというデメリットもあります。

STOでよくある質問

ここまで、STOの概要や必要性、従来のICOとの違いを解説してきました。全体的なイメージは掴めたのではないでしょうか。ここからは、STOに関連したよくある質問をまとめて見ていきましょう。

STOの銘柄にはどんなものがある?

世界的にみて、STOの実施例は着々と増えつつあります。たとえば、インドでカーシェアの事業を手がけている、Drivezy(ドライブジー)という企業があります。

同社ではセキュリティートークンを発行しており、トークンの保有者には、自社サービスの営業利益の一部を還元する仕組みがあります。

また、海外ではPOLYMATH(ポリマス)というプロジェクトのように、STO向けのプラットフォームも出てきています。

STOは日本でもやっている?

日本国内では、レヴィアス株式会社という企業がSTOによる資金調達に成功したという報告を出しています。これは、独自開発したSTOプラットフォームである「J-STO」の事業資金を集めるために行われたものです。

レヴィアス株式会社の場合は、STOプラットフォームを運営・開発するための資金を、STOによって調達したようですが、ICO向けのプラットフォームとしては、2018年に大規模なハッキング事件にみまわれた取引所Zaifを運営するテックビューロ社の「COMSA」というプロジェクトがあります。COMSAでは、プロジェクトを稼働するためにICOを行い、100億円以上の資金調達に成功しています。

まとめ

以上、STOについて概要や従来のICOとの違いを解説してきました。STOはICOに代わる新たな資金調達方法として、今後主流になっていく可能性があります。さらに、現時点で証券化されている資産をトークンと紐付けることで、セキュリティートークンとして発行することも可能です。そのため、今後は既存の資産が証券としてトークン化する流れも強くなることでしょう。

また、STOの誕生は法律面が整備されてきたことがきっかけです。こうした規制はマイナスの側面が強調されがちですが、長い目で考えると仮想通貨市場の健全な発展にとってプラスの材料といえるでしょう。国内においても大手企業が続々と仮想通貨事業に参入してきており、今後の動向にますます目が離せません。

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